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ソフィアの夜明け

みなさま こんにちは
今日は風が強いせいで、ここのところ落ち着いていた花粉症がスパーク!
やれやれ~

先日のネットショップでの件は、新たな発注はされておらず、
交換手続きをします、というメールが来ました
まぁ、なんとか、なるかな・・・?



今日観た映画 『ソフィアの夜明け』
これまた珍しい、ブルガリアの映画

もちろんいつものミニシアターで、なのですが、
何度もこの映画の予告編を観ていて、はっきり言うと「嫌悪感」がありました
主人公がどうにも「やなヤツ」に見えて仕方なかったのです

でも、他の方々のレビューを読んでいると、どうやらそれはわたしの偏見にすぎず、
とても純度の高い映画らしい・・というような印象を受けるようになりました
それなら観てみようかな・・と思って観てきました^^

ひとことで言うと、主人公のフリストなしでは輝かない映画
フリストの存在感、吸引力によって成り立っている映画だと思いました

※内容について詳しく書きます※





アーティストとしては食べていけず、木工所で仕事をしているフリスト
麻薬中毒なので、病院に通いメタドン療法を受けています
(ヘロイン中毒者に用いられる治療で、合成麻薬を使います。
禁断症状の緩和の役割を果たすそうです)
ひとりでアパートの家賃を払えないので、男友達(?)とシェアして暮らしています

いつも眉間にしわをよせて、気だるく不機嫌そうなフリスト
水のようにビールをぐいぐい飲むことで、何かを追い払おうとしているように見えます
恋人ニキもいるのだけど、彼女にはこころを開いていません
自分ひとりを背負うのだって、フリストにはいっぱいいっぱいなのに、
ニキはそんな彼に「あなたはわたしのすべてよ」と言う
フリストはニキを嫌いではないものの、今の苦しい、やり場のない不安感は、
ニキと一緒にいることでは解決しないことを知っています

いつも「むすー」として、猫背。ひょろひょろした腕と足で、
ハンサムでも美男子でもないのですが、妙な色気があります
お昼ごはんをむしゃむしゃと食べる姿はワイルド!とも見えます
煙草の吸い方は特にカッコいいかもしれません
腕にはタトゥーなんかも入っていて、一見コワいです

見かけとは裏腹に、とても繊細で優しい人だということがスクリーンからは伝わってきます
フリストの動きは独特で、スローモーなのですが、
人との接し方、物との接し方は穏やかで落ち着いています
何かを乱暴に扱うことは、決してありません

フリストには弟がいて、その弟ゲオルギは10代にありがちな反抗心や未熟さから、
ネオナチのグループに入ります
でもゲオルギもフリストと同じで、本来の性格はおとなしく、優しい子のようです
ある晩、トルコ人の家族をネオナチグループが襲います
そのグループにゲオルギがいて、たまたま通りかかったフリストは
このトルコ人家族を助けます(自分も怪我をします)

これをきっかけに、フリストは弟がいる実家をたずね、
「やつらとはつきあうな」と諭します
その諭し方は実に静かで、余計なことは何ひとつ言いません
まるで「お前の気持ちはわかってるよ」とでも言うように・・
そしてトルコ人の娘ウシュルとも仲良くなります
ウシュルは、恋人のニキとは違って自我を持っており、
自分の未来は自分で切り開こうとしている女の子です
(とても美しい人です)
八方ふさがりのフリストから見ると、キラキラと輝いて見えたのかもしれません
(ウシュルはトルコ語で、キラキラという意味があるらしいです)

残念ながら、ふたりが仲良くするのを不満に思うウシュルの父によって
2度目のデートは叶いませんでしたが、
ウシュルの存在はフリストに希望を与えたように見えました

フリストは病院で先生にこう言います
「俺はクリスタル(水晶)みたいになりたいんだ。明るい光を放ち、
すべての人を愛したいんだ。みんなを抱きしめたい。なのにまるでダメなんだ」

このことばにフリストのすべてがあるような気がします

フリストはウシュルと会う時は、珍しく「にまー」と微笑みます
そうする時は、まるで少年のようです
やはり彼はアーティストなのでしょうね
繊細で、傷つきやすく、優しい。いつもこころに不安があり、
それをどう消化してよいかわからない・・・

低予算映画らしく、手持ちカメラの時はぐらぐらと画面が揺れます
(車酔いする人には危険かも。酔いそうです)
この監督は1975年生まれと若い監督です
長編作品はこの『ソフィアの夜明け』が第一作目
監督の友人であったフリストと久しぶりに出会ったことでインスピレーションを得て、
この作品を撮ったとのこと

確かに、フリストを見ていると、彼のことを記録に残したい、と思ってしまうかもしれません
実際、フリストは俳優でも何でもなく、演技初挑戦ですが、
フリスト自身がフリストを演じているので、演技もとても自然です
(というか、痛々しい感じです)

映画のラストシーンは、バスに乗ってフリストがトルコに向かい、
トルコに着いたところです
彼はウシュルに会えたのでしょうか^^ 会えていると嬉しいのだけど

フリストを演じたフリストは、この映画撮影終了の直前に、
薬物の過剰摂取で亡くなってしまいました
わたしはこの映画の撮影が、
彼の大きなストレスになったのではないかと心配してしまいました
繊細な彼のこと、もしかしたら映画撮影はつらかったのかな・・と
本当のところは、知りようがないのですが・・

フリストの魂が、安らかな場所にあることを願います






今日は午前中からの上映だったので、お昼ごはんを
アルテリオシネマの上にあるカフェで食べました^^

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この番号札で、できあがるのを待ちます^^
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黒ごまパンのホットサンドを頼みました。
コーヒーゼリーのデザートと、ピクルスが付きました。美味しかったです^^

by fotobella | 2011-04-27 17:56 | 映画  

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